周山雪見ツーリング2013(2013年1月3日)
参加者:レオ君(Dトラッカー)、自分(CBR600F4i)
1月3日、正月休み真っ只中。
自分はいつも通りで昼まで寝ていて、起きても布団から出ずにTVを見るといった贅沢の ズボラの極みな休日を過ごしておりました。
そんなとき携帯の着信音。
「わしを起こすのは誰だ〜〜〜〜〜」と半ば不機嫌に電話にでると、相手はkonoka君。
元気な声で「走りにいきませんか〜」と言うではないですか。
「どこへ?」というのも聞くだけ野暮だとは思いました。
自分に声をかけたという時点で彼はこの寒空の下、美山まで行きたいという意思がバシバシ伝わってくるのです。
無理やり引っ張り出されるようになってしまっては自分も老いた証拠だな〜などと思いつつ、重い腰をあげて美山まで行ってみることにします。
まだ気持ちで負けてしまってるライダーにはなっていないだろうと自分で自分を確認しながら・・・。
しかし外へ出ると、これがまぁ非常に寒い訳です。
布団の中でぬくぬくほぉわ〜んとしていたさっきとは違い、風が冷たく目を細め、顔の皮膚がバシっと突っ張るような状況。
「何もこんな日を選ばなくても…。」
バイクを前にテンションは上がってきません。
エンジンをかけた6Fはオートチョークで回転がガンガン上り、気分的にやけくそかのように聞こえます。
「ほらぁCBRも不機嫌だしぃ…」
街乗りの段階で寒いです。
そして雪雲に覆われ霞んでしまっている北山を見て「やばいなぁこれ」って考えてました。
午後3時10分高雄のコンビニ到着。
初詣の混雑で約束の3時より10分ほど遅れてしまいました。
京都の正月はこれだから嫌だ・・・。
高雄の時点で既に雪が舞っていて、多少なりとも危機感を感じている自分に、「絶好のツーリング日和ですね!!」と笑顔のkonokaくん。
そんな彼を見て、自分は誤ったニュアンスを伝えてしまっているのではないかという危機感を覚えていました。
免許を取得して1年にも満たないkonoka君にとってバイクで過ごす初めての冬。
そんな彼が雪の残る周山街道を走るということをどれくらい想像できているかかなり疑問に思えてしまったのです。
バイクに乗る以上、まず優先させるべきは安全。
達成感や爽快感というのは安全を犠牲にしてまで得るものじゃないです。
ただネットが普及した現代、自分の行いが、他人にノリや酔狂で危険なことをさせてしまうのではないかと思えてしまったのです。。。
いや、自分の発言している安全の尺度も曖昧になっているのかもしれません。
実は数年前、春を身近に感じる三月の青山高原で予想もしない残雪のため転倒者が出てしまったんです。
場所はR163から青山高原までのアプローチの高良城林道。
先頭は自分、続いてK田君、YBR君、お兄さん、S山君の順で走ってました。
それまで雪の気配などまったく想像もできず、自分に続いて走るK田君がどれほど走れるようになったのかと、ワインディングを堪能する方向で走っており、K田君とYBR君は距離が離れていたのです。
そんなとき、日陰にアイスバーンが現れたのです。
ただ、アイスバーンは一部。その先では路面が見えていたので、自分は何も考えず徐行で通過してしまったのです。
これなら平気という物差しが他のメンバーにもあるかないかを確かめず・・・。
自分に続いてK田君も問題なく通過しました。
そして後ろが追いついてくるのを待つため、ゆっくりゆっくり進んでいたのですが、後続が来ないのです。
路肩にバイクを停めてK田君と「まだ雪が残ってたね〜」なんて話をしていたのですが、一向に来ないのです。
あきらかにおかしいと様子を見に行くと、雪の上で止まっているYBR君と雪の手前でバイクを止め、YBRの横に立つお兄さん達。
一見バイクが壊れていなかったため何故に止まっているのか不思議に思えたのですが、話を聞くと雪の上でYBR君がぐるんと90度向きをかえそのままスリップダウン。氷の上でバイクが起こせずそれを3人掛りで起こした直後に自分達が戻ってきたとのこと。
そして最スタートを切ったYBR君は大きくテールスライド。
傾いた瞬間「こける!」と思ったのですが、彼は足をついてギリギリのところでなんとかリカバーしたのです。
ただ先ほどの転倒シーンは見ていなかっただけに、自分は全身に鳥肌が立ちました。
凄く軽いYBR250でよかったと本当に思いました。
それと同時に自分の判断ミスで転倒者が出てしまったのだと後悔しました。
彼は、雪の上でのアクセル操作の仕方がわからなかったのです。
京都の市街地でも昔は年に1〜2回は10cmくらいの積雪があったと記憶しています。
自転車が移動手段の子供時代、雪の上を自転車で走って、ブレーキで滑る、コケる、漕いだら後輪が空転する、傾けたら前からコケるということは自然に学び、それは普通なのだと思っていました。
さらに自分の場合、原付に乗り出してからというもの、雪が積もれば深夜や早朝に原付で道路に繰り出し遊んでいた経験があるのです。
無論、転倒は当たり前。というより転倒スレスレの行為を楽しむために乗っていたのです。
そんな中で雪の上でのアクセルワークを自然と覚え、それが好んでバイクに乗る人には普通のことだと思っていたのかもしれません。
「これ以上は無理」と言い張るお兄さんを見て、先にS山君が通過。
彼とK田君は雪国出身なのです。
一人残っても嫌がるお兄さんの変わりに自分が1000RRに乗りアイスバーンを通過、その後は問題なくツーリングが続行されたのですが、今に思えばお兄さんもどこまでが平気であるかという物差しがなかったため進めなかったのです。
それに気づくことができませんでした。
路肩を避け徐行さえしていれば危険も少ない酷道、腐道、険道ツーリングとは違い、雪の上では1つ1つの動作に繊細さが要求されてしまいます。
転倒前提に滑って転んでもキャハハハハというのは、人里離れた林道でやるべきで、主要道路のR162でやるべきではありません。
アイスバーンで転んだら?
・バイクが滑って起こせない。
・自分も滑って起こせない。
主要道路の真ん中でこんなことをしていては二次被害は避けられません・・。
道路に雪が残っている状況のまま峠への道に突入してしまったら?
・峠にはさらに雪が残っている。
・雪上では少しの坂でも登れなくなる。
・下りならブレーキができない。
・バイクから降りていても下が踏み固められていたらバイクの重みで自分がズルズル引きづられる
・車がブレーキをする場所がカチカチに踏み固められてしまう。
・乗ったままUターンなどできない。
・路肩は除雪の雪があるので退避できない。
・車の通るライン以外には雪があるのでセンターライン付近に自然と雪の山ができている。
・その雪の山に対しては例え直角に進入しようが、前が滑って転倒してまう。
・前輪が雪を乗り越える力を後輪が路面に伝えることができず空転して立ち往生するだけ。
・つまりそう簡単に引き返せすことがない
戻る方法
・見通しの良いところを選んで止まる。
・センターラインの雪の山を足で崩して道を作る。
・押してUターンするのに何秒かかるのか事前にイメージをしておく。
・押しながらクラッチを繋ぎバイクの惰性も利用して速やかに反対側へ。
安全な方法
・そもそもオンロードは峠手前であきらめるべき。
何で判断?どこで線引き??
経験でしかないのだろうし、まずは安全が最優先なわけで・・・
考えれば考えるほど怖くなってしまうのだ。
だた今度こそは自分が正しい判断をしなければならないのです。
「正月の寒波で積雪がすごいんじゃないかなぁ」と言うと
「正月の1日に知り合いが行ったんですけど、道路に雪はどこにもなかったらしいですよ」とkonoka君。
「あ、そうなの?」と少し安心しながらも
「まぁ行けるところまでで」と念には念を押しておきました。
無論行けるところというのはkonoka君が安全に行けるところという意味です。
雪のちらつく高雄を出発。
雪は降ったり止んだりを繰り返すのですが、中川、細野と走り抜けてもこの時期には珍しくなぜか路肩に雪がありません。
超絶寒いのは寒いのですが、下に冷気の吹き溜まりがないだけ、体感的には気温よりはマシといったところです。
笠トンネルを抜けたところで温度計は-2度を表示します。
そのまま栗尾峠に突入。ここにも雪がなく安全に走ることができました。
ただ斜面からの水が凍結していないかにはかなり注意を払いましたけどね。
ひょっとして・・・ほんとうに雪がないのかもしれない。
雪は軽く舞っていますが、この辺から少し軽く考えるようになっていました。
栗尾の展望から京北の集落を見渡すと周山集落には積雪はなさそうなんですが、その先の山々を見ようとしても雪雲特有の白く酷く霞んだ景色が見えるだけ。これは深見でも降雪が続いているということです。
道の駅ウッディ京北を通過。
その後、上弓削の直線後半に差し掛かると、やはり路肩に雪がでてきました。
この程度であれば問題なく行ける。
自分はそう判断を下しました。
深見峠へ突入します。
降雪のため周りに木があまり生えていないところでは新雪が綺麗に路面を隠してしまっているのですが、状況的には一面シャーベット状っていうのよりはまだ走りやすいです。br>
雪の上をゆっくりゆっくり走る自分に続き、始めての雪上走行になるであろうkonoka君も問題なくついてきます。
ちゃんと自分が通ったあとをトレースしてくれているので安心できます。
しかし自分自信に問題があったことに気づくのです。
寒いときはダブルレンズを装着しているアライのメットで走るようにしているのですが、今日は寝ぼけながらバタバタと出てきたので通勤用にしているショウエイのマルチテックで来てしまってたんです・・・。
もうね・・・普通のシールドなので曇って曇って前が全然見えないんです・・・。
先ほどまでなら普通に巡航ペースで走れていたので少し曇ったところで下に少し隙間を作ればすぐにクリアになっていたのですが、雪を警戒したトロトロペースじゃ曇りが取れません。
さらに深見トンネル通過でシールドが真っ白けっけに。
シールドが内側までベタベタになってしまったので、開けて走るしか術がなかった訳ですが、裸眼を晒すと雪で目が痛すぎて走っているのが辛いです(涙)
ちなみにkonoka君はゴーグルなので曇らないとは言ってましたが、「顔寒くない?」って聞いたら「むっちゃ寒いです」って(笑)
この気温はフルフェイスでも顔が冷たいんだから、シールドのないオフロードメットはマゾでしょうに・・・
峠を下って深見の集落、同じく気温-2度。

そのままゴールの美山牛乳、同じく気温-2度。
我々はずっと氷点下2度の中を走ってきた訳です・・・。
もう何が絶好のツーリング日和なんだよ〜(涙)

バイクは1台もいません。
当たり前だ!!誰が好んで氷点下の中バイクに乗るんですか・・・。

Dトラのフェンダー裏。
路面からのしぶきが走行風で凍るくらい寒いわけ。
ちょっとは寒さが伝わりますか?
休憩してても寒いし、吹き晒しだし、もうさっさと帰りますよ。
てか早く帰らないとどんどん雪が積もっちゃいます。

帰り道で定点観測。
たしかに数日前までは雪はほとんどなかったのだと思います。
除雪された雪すら積もってませんから。
ただ行きよりも雪が積もってきてます。
この雪の感じではみるみる積もっていきますよ。こりゃ急いで帰らなければ・・・。

止まろうと「シフトダウンしたらリアが思いっきりロックしましたよ」とkonoka君
真ん中の太い線は自分の6Fのタイヤ跡ですが、S字カーブを描く二本の線がDトラッカーのタイヤ跡。
前輪と後輪の動きがシンクロしすぎてて笑えますが、雪の上で普通にシフトダウンしてしまうkonoka君の行動にちょっと変な汗が・・・
なにあれ、転倒しなくてよかったです。
「帰りにカモノセキャビンのマスターに挨拶しにいっていいですか?」とkonoka君が言うので、深見峠を抜けてカモノセキャビン前で止まると、「こんなときに何してるんださっさと帰れ」っと追い出されるkonoka君(笑)
この雪・・・、間違いなく積もりますもんねぇ・・・。
帰りはだいぶ省略しちゃいますが、カモノセからはノンストップで無事、高雄へ到着しました。
すれ違うライダーなどいません。
てか、もう暗いです。
指先もつま先も顔も冷たすぎて辛いです。

帰りのほうが降雪が多かったので、フォークガードに付着した雪がカピカピに凍ってしまってますよ。

自分の6Fもフェンダーのしぶきが凍ってますし・・・。
いや、ほんとに・・・
超絶寒いって〜〜の(涙)
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