伝説のツーリング  十津川・熊野ツーリング(2014年9月16日)

参加者:お兄さん(CBR1000RR)、Kさん(FZ-1フェーザーGT)、自分(CBR600F4i) 


十津川ツーリングその7 走れメ●●!(針TRS〜宇治川)

時刻は8時半、針TRSへと到着する。
ここまで来れば京都もあと少しという気分になっているところで、軍曹さんに限ってはここがどの辺であるのかが分からない様子。
二人でまだ奈良県であるということを伝えると、「えぇ!?まだ奈良!?」と衝撃を受けている。

「そっか・・・大阪、京都、奈良、三重、名古屋あたりからライダーが集まってくる針TRSわからないか・・・。」

バイクに復帰してから3年以上が経過する軍曹さん。
この歳になると3年という月日はあっという間に過ぎていくものだが、過去バイクに乗っていた期間は走りを楽しむこともなく、周りにライダーがいることもなく、街乗り専用でバイクに乗っていたことを踏まえると、今が実質的にバイクに乗り出しての3年という期間。
密度の濃い乗り始めからの3〜4年は、以後のライダー人生を大きく左右すると考る自分にとって、以前と同じように街乗りメインでバイクに乗る軍曹さんの3年は、色々ともったいなく思えてしまった・・・。
軍曹さんの一言でここまで考えるようになった自分はかなり病んでいるのだろうか・・・。

「夕食はどうするの?」とお兄さんが問う。
う〜ん自分に限っては京都までもちそうだけどなぁ・・・などと考えていたとき、ふと自分の犯している大きな過ちに気付いてしまった。

そう、昼食を摂っていなかったのである・・・。
なぜ誰も途中で昼食に触れてくれなかったんだ〜〜〜と焦る自分は、バイクで走っていればお腹が空かないという異常体質・・・。

昼食を忘れていたなら、昼食がまだであると遠慮なく言って貰えれば・・・、いや、言ってもらえる間柄だと自分は思っていたのだが・・・。
少し虚しさを覚えた。

夕食は天理スタミナラーメンに決めた。
ここならミーハーには食いつきが・・・、いやもうやめておこう、テレビっ子はテレビで見たもの”だけに”しか食いつかない。
例え吉野の山奥にある塩ラーメンは知っていても、メジャーな天スタは今更テレビでもやらない店になってしまっているのだから食いつくわけがないのだ。
年間通じてラーメンを食す機会が自分の10分の1であっても、自分の10倍はラーメン店を語る人達に、きょうびのラーメンというのは所詮はブームであり、ブームを継続させるため仕立てられたサイクルであり、最終的には複数テーブル席があり、ガレージ完備されている等、長年老若男女に親しまれている店というのが、社会的義務も含め安心して利用できる店であると力説したところで失笑されるのがオチなのだから・・・。

しかし自分、バイクに乗っていればお腹が空かない異常体質とは言え、食べものを目の前にしてしまうと、脳が空腹状態にあるということを盛大に訴えってくるため急激にお腹がすく。

まずは大盛り。
そして替え玉。
隣で呆れる二人。

いやぁ、食べてしまえるものだ。
夏目漱石1枚では足りなくなってしまった(汗)


店を出たあとの出発準備中、「あとどれくらいあるの?」と軍曹さんが聞く。
「あと山3つくらい越えたら市内に入りますよ〜」と答えると、「帰るの何時になんねん!」と。

あぁ・・・考えたら軍曹さんとはここまで長時間走ったことがなかったのかもしれない・・・。
というか軍曹さん自身、一人で遠くまでは走りにいくことはしないため、朝に出て、この時間帯でまだ走っているということは、すでに未知の領域に入っていることになるのだ。

うん・・・?そういえばお兄さんもなのか・・?
いやいや、お兄さんはありまくるな・・・、自らが企画し、自ら首を閉めた、讃岐うどんツー、鳥取砂丘ツー、地獄の岡山ツーなどが・・・。
これらに比べたら、今日のお兄さんのヘタリ具合はマシといった感じに見える。

しかし帰りが遅いとお兄さんの親御さんが心配してしまい、後日「こないだは遅かったね」と言われてしまうものだから、そのことを思い出してふと肩身が狭くなってしまった・・・。
お兄さんの企画であれば「そうなんですよぉ〜・・・」と一緒に苦笑いできるのであるが、今日は一生の思い出にと自分が連れ回している形になっているので、心配をかけてしまうことに申し訳無さを感じてしまうのだ。
一応二人とも休憩のたびに自宅に連絡は入れているようではあるが・・・。


針〜柳生の区間は快走路。
この時間帯であればなおさら快走路ではあるのだが、ライトでしか視界が確保できないため、正直昼のほうが速いのか、夜のほうが速いのか、結果を問われると微妙なところだと毎回思う。
しかし、今日の場合は後続の到着を待たねばならないので、夜間であるほうが交通量が皆無でも時間がかかっていることはわかった。

柳生から笠置へ降り立つr4になると道は狭く真っ暗になる。
一部のライト&ビギナーライダー達には不評なこの区間、お兄さん達に極度の緊張を強いることになるかもしれないと、はじめの内はペースを合わせて先導役に徹していたのだが、速度も出ないし、夜間のほうが対向車の存在に気づきやすい&対向車が少ないことで、逆に走りやすくなっているのではないかと考えていた。
むしろ、この区間で怖かったのは笠置の集落に降り立ったとき、犬の散歩で道路を歩いていた地元住民だった・・・。

R163に出て、すぐさま木屋峠へ向かうためr62へ入る。
またもやの狭い峠だが、地元のおばちゃんでも原付で走れるのであれば、好き好んで大型バイクに乗っている我々が走れないわけがない
道を選ぶようならハーレーにでも乗って、コミュニティー内だけで楽しんでおけばいい。
道が狭いならゆっくり走れば問題はない。それだけのことなのである。

ただ、それだけのことだというのを二人には実感できるようになってもらいたいし、バイクは等身大の気軽な乗り物であると、このような経験を積み重ねていくことで思えるようになっていけれるなら、それが自分にとっても、お兄さん達にとっても幸せなことだなどと考えるのだ。
何より「飛ばさない」と頻繁に口にする二人、ならばゆっくり走るところこそ、エレガントに走り抜けられるようになって欲しいとは自分の説なる願いなのだが、飛ば”さない”と口にする人は飛ば”せない”がほぼイコールであり、ゆっくり走るのも確実に苦手というのが定説になってしまっていて希望がない・・・。

ゆっくり行く自分のさらにゆっくりのペースで二人は峠を越えてくる。
「市内についたとき、軍曹さんからブーイングを受けるに違いないなぁこりゃ。」
この時はそんな苦笑いな心境程度でいた。

さて本日最後の峠、犬内峠への登りに差し掛かる。


(写真は別の日のものを使っています。)

みんな大好き犬打峠。
現代に残るユートピア。

一部ライダーにあまりにも不評なこの峠を、いつしかそのブーイングを笑いでごまかすかのように、こんなフレーズで表現するようになっていた自分。
正直ツアラー属性のライダーから見れば、それほどのエグさはないと思える峠なのだが、飛ばすの大好き大型SSライダー達には、飛ばせもしないし、前傾姿勢のまま極低速のヘアピンを連続でこなさなければならないので、ここを通って面白い訳がないということは一応認めている。

しかしここは本来、南へ足を伸ばす京都ライダーには切っても切れない超メジャー級ショートカット。
面白い面白くない以前に、わざわざ遠回りをする必要性を自分は感じないのである。
しかも順当に帰ったところで慢性渋滞の幹線道路(R24)しかないのだから。

もともと速度の出ないこの峠、やはり夜間となれば対向車の有無がヘッドライト判別できるので走りやすい。
自分はこのとき”もう帰ってきた”という気分に一人だけなっていたのかもしれない、峠の途中で安否確認もせず、先導もそっちのけで犬打峠を越えてしまったのだ。

犬打峠を下って2車線になったところで二人を待つ。
だがしばらく待っていても二人が峠を下ってくる気配がなく、アイドリングで水温がガンガン上がり始めてしまいエンジンを停止した。
街灯が1つもない田舎道、エンジンを切ってしまうと暗闇に包まれてしまうのだが、「しばらくこのまま真っ暗の中にいて、お兄さんが近づいてきたところでライトが点いたらお兄さん達びっくりするんじゃないかな」などと、くだらないことを考えいたのだが・・・






来ない 






ぜんぜん来ない






さすがに何かあったのではと心配になり、連絡を取ろうとするも携帯は圏外。
もう道を間違えたか、事故を起こしたか、バイクにトラブルが発生したのかのいずれしか考えられない。

・道を間違えたに関して
たしかにこの峠には1本だけ脇道が存在する。
お兄さんも10年ほど前に反対ルートで1度は走ったことがある道なのだが、彼はそのことを覚えてはいないだろう。

そちらへ行くとR307の裏白峠東側へ抜けてしまう。
しかし彼にとってはハードな道が長く続くし、ひらすら続く尾根道は夜間とは言え間違いに気づきやすいとも思われる。
そもそもその道に入るには和束側からとなると90度以上ターンして入ることになる。
夜間走行中のお兄さんの目線の近さや視野の狭さを考えると、そちらに入っていくことのほうが難易度として高く思えてしまうのだが・・・。


・事故に関して
峠を越える過程に置いて、この時間帯でも珍しく1台の対向車がいた。
先ほども述べたようにこのような狭い道では夜間のほうがヘッドライトにより対向車に気づきやすい。
しかし気づくことと、回避のコントロールするのを同一に考えることができないのがお兄さんであり、軍曹さんである・・・
Tシャツに3シーズンジャケットで少し肌寒いとは言え、それ以上の嫌な寒さを感じてしまうのだが・・・


・バイクのトラブルに関して
正直これであってほしいと思われる。
幸いにも急勾配であるがため車輪さえ動けばニュートラルのまま和束まで下っていくのは容易いこと。
もうこれであって欲しい・・・


とりあえず待っていても仕方がないと、自分は峠を引き返すことにした。
夜間の犬打峠コースレコードを狙うかのごとく、またはこだまするエキゾーストノートが、暗闇に怯える軍曹さんやお兄さんを勇気づけるかのごとく、とにかく全力で走った。


私を待っている人があるのだ。

少しも疑わず静かに期待してくれている人があるのだ。

私は信じられている。

死んでお詫びなどと気のいい事は言って居られぬ。

私は信頼に報いなければならないぬ。

いまはただその一事だ

走れ!メタボ。


・・・


うん・・・?


とにかく自分で言うのもなんだがキレッキレの走りっぷりで漆黒の犬打峠を往復したのだ。








しかし・・・







和束側へ降り立っても誰もいないのである・・・


・・・・・・


オニイサンティウス、私は走ったのだ。君を欺くつもりは、微塵もなかった。

私は急ぎに急いでここまで来たのだ。

一気に峠を駆け降りて来たのだ。

私だから、出来たのだよ。

ああ、この上、私に望みを給うな

私は負けたのだ。笑ってくれ。





・・・


うん・・・???(パート2)


ここはポジティブにオニイサンティウスは確率として一番低いであろう鷲峰寺ルートで裏白峠方面へ向かったと考えることにしよう・・・。
幸いと言えば幸いだ・・・

そこから自分はもう一度漆黒の犬打峠を越えることにする。
ついに腐道62にも峠小僧(おっさん)が現れたかと、爆音を轟かせる6Fのエキゾーストノートを聞いた和束の集落の人々は怯えていたかもしれない。
だが急がねばならないのだ、裏白峠から京都入りするお兄さん達を自分は捕獲しなければならないのだ。
場所は・・・


R307よりもっと確実な宇治川ラインの入口、近畿スポーツランドの看板のある交差点が最も適していると思われる。


<< ・榛原ラビリンス

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